卒業シーズン、伊豆大島公演の思い出(6)
伊豆大島公演の思い出ストーリーシリーズ(6)で~す。「HEY!WAO!」の前身プログラム=「MYリズムネイション」が見事に花を咲かせて実になって熟し切って、中にあった沢山の種がたんぽぽのように空に飛び立ち、新しい地面に辿り着いて、MariTAMTAMまりの中では新しく「HEY!WAO!」が芽を出そうとしている時期でした。「MYリズムネイション」では出来なかったこと、もっとチャレンジしたかったことにトライして、より良いプログラムを作りたい!それが「HEY!WAO!」。この伊豆大島公演での体験やプログラム作りが大きなヒントになりました。当時書いた日記が元になっているので、かなり自分の世界に入ってしまってます、すみません♪続き物なので 卒業シーズン、伊豆大島高校公演の思い出(1) 卒業シーズン、伊豆大島高校公演の思い出(2) 卒業シーズン、伊豆大島高校公演の思い出(3) 卒業シーズン、伊豆大島高校公演の思い出(4)卒業シーズン、伊豆大島高校公演の思い出(5) から続けて読んでね?んでは!
23:10、携帯が鳴る。表示を見ると、、、おっ、ローレンスだ。きたきた♡ 船は携帯が繋がらないことが多いと聞いたけれど、この船は繋がるんだなぁ。よかった。港に停泊しているからかな?)
MariTAMTAM「Hi, ロロちゃん?お疲れ様~。もうすぐ合流出来るね 」LawrenceLolo「Hey, Mari! ドウシヨウ、マリ、間に合わないかもしれない、ドウシヨウ」 MariTAMTAM「ま~たまた~そんな冗談、見え見えだよ~ん。騙されまっせ~ん。みんなで待ってるよ~♡」彼はよくこの手の冗談を言う。今までに何回もマにウケて驚いたりパニックして、損したことがある。ロロちゃんはいたずら好きなのだ。
LawreneLolo「ほんとなんだよ!!!Believe me! I’m panicking!パニックしてる。ドウシヨウ、ドウシヨウ、ああドウシヨウ」あれ?そういえば、たしかにただならぬ声で、ほとんど泣いているか吠えているようだ。
MariTAMTAM「え?ほんとなの?なに?どうしたの?どこにいるの?」
LawreneLolo「桜木町の駅で1時間くらいずっとタクシー待ってるけど、全然来ないんだ。停ってる車は全部予約になってるし、ドウシヨウ、ドウシヨウ。 I’m panicking!」
MariTAMTAM「え~!!?なんで桜木町の駅に行っちゃったの?ホテルの方がずっと桟橋に近いのに?フロントでタクシー頼まなかったの?」 LawreneLolo「フロントの人に頼んで1時間以上待ったけどタクシーが来なかった。フロントの人に、これはもう待っていても来ないから駅に行った方がいいって言われたんだ。ああドウシヨウ~。ここまで歩いてくるのもすごく大変だった、、、ハァハァ」息が荒いのが電話ごしでもわかる。雪の中を、MariTAMTAMまり以上に大荷物の彼が歩く困難さは容易に想像がついた。それにしても、マズイ。めちゃくちゃマズイ。浜松町であの時間であのタクシー事情だったんだから、こんな遅い時間の桜木町では、オーマイガだ。
MariTAMTAM「わかった、ちょっとこのまま電話切らないで。ガハハ社長Dさんに相談する!パトカーでも何でもいいから、車がいたらとめてみてね、とまったらドライバーと電話かわってね」
ガハハ社長の部屋をノックすると、ご機嫌で「おっ、まりさ~ん、飲みましょうよ~ガハハ、いやぁ~一時は公演中止かと思ったけど良かったっすねぇ~~ガッハッハッ」と顔を出した。MariTAMTAM「実はかくかくしかじか、いかがいたさん、どうしましょう?!!!」
ガハハ社長D,その他全員「げぇぇ!!!マジっすか?なんでなんで?」一気に様相が一変した。 すわっ!社長と音響さんと私で調べたら、早朝の船でも公演に間に合わないし飛行機も怪しいから、この船に乗れなければアウトだと判明。
「一万円札を見せて予約タクシーに頼み込めって言って!とにかく何でもいいからヒッチハイクして貰って!今から船長に少し待ってもらうよう頼みこもう!」などなど、大騒ぎ。頼りになるガハハ社長だ。船長に「大島高校70周年の大事な式典なんです!大島町の皆さんがすごく待ってるんです!」と頼み込んでくれた。さすが!学ぶところ大。
船長はじめ、クルーの皆さん、大桟橋の皆さんもトランシーバで連絡を取り合いながら協力してギリギリまでローレンスを待つ体制になってくれた。
電話の向こうでは、ローレンスの声が聞こえる
LawreneLolo「スミマッセン、オゥサンバァシ、オネガイシマス、イ-チマンィエン、、、、、、オゥ、オーケー、、、、はあはあはあ、、、、、スミマッセン、オゥサンバァシ、オネガイシマス,イ-チマンィエン、イエス、え?、、、、、オオゥ、オオゥ、、オーケー、、、」といったフレーズを延々と繰り返している。駅前にならぶタクシー一台一台の運転手に頼んでいるようだが、上手くいかないのだろう。どれも迎車なのか、乗車拒否なのか?
ヒッチハイクの可能性を考えてみた。彼はめちゃくちゃ心優しく、誰からもモテモテの愛されキャラだが、見知らぬドライバーから見たらどうだろう。客観的に想像してみた、、、、
鼻にも耳にも沢山のピアスをした、モヒカン頭の黒人が吹雪の暗がりに手を振っている。よく見ると後頭部には膝までの長い尻尾髪を1本垂らしている。ホテルと伊豆大島両方の仕事の衣装で山のような荷物と楽器を抱えていて、、、しかも!目が血走っている。ハァハァと息をきらせている。。。。。。。あなたな~らどおする?、、、、、、、う~~ん~~ダメ、難しそう。せめて自分か誰か日本人が一緒にいれば、ヒッチハイクも可能性があるんだけど、、、、、
LawreneLolo「Wow! ポリスカーだ!Mari、ポリスカーがいる!ちょっと待って、へ~~イ!へ~~~イ!、、、、、、おお、はぁはぁはぁはぁ、、、、、、、、目の前で曲がって行っちゃった、、、、、あ!!ちょっと切る!またかけるから!」ローレンスが唐突に電話を切ってしまった。何が起きたのだろう?電話を持ったままガハハ社長にアイコンタクト。何とかしたくても何も出来ない。無力感。
「まりさん、もう俺たちに出来ることは神様に祈ることしかないっすよ。」ガハハ社長が頭を抱えて、壁のところに座り込んだ。
船長が「あとどれくらいで桟橋に着けそうですか?」と何回も聞いてくる。
船はもう、桟橋に着いて、ローレンスを待っているのだ。
その時、電話が鳴った。MariTAMTAM「ロロちゃん?!」
みんなの 視線が自分に突き刺さるのを感じながら電話に答えた。
LawreneLolo「タクシーに乗れた!Thanks, GOD!遠くの病院の中からタクシーが出てくるのが見えて、必死に走って行ったらとまってくれたんだ。あと10分くらい、オゥサンバァシ着く。」みんなで携帯を見つめながら待つ。時の経つのが長く感じられる。
また電話。LawreneLolo「オゥサンバァシ着いた!すごく広いみたいだ、どこ行けばいい教えて!」遠くで、タクシーの運転手が「すみませ~~ん!伊豆大島行く船らしいんですけど~~」と誰かに向かって叫んでいる。
その時、船長が駆け寄ってきた。「着いたんですね!?あとはこちらで誘導するから任せて下さい!」そう言って、レシーバーで桟橋のスタッフとやりとりを始めてくれた。
「そうです!背中に楽器をしょっている黒人?そうそう!その人です!チケットも無くしてるようだから、とにかくこちらに連れて来てください!」
竹芝桟橋と違って、大桟橋はとても広いようだ。しばらくしたら、息をきらしながら、誘導してくれるスタッフさんに連れられてローレンスが荷物と一塊になって転げるように走ってきた。チケットもぎりのスタッフさん達と船のスタッフさん達が迎えてくれ、雪の中、揺れる渡しをよたよたと乗船!歓声が上がった! 20分近く彼を待っていた船は、あっという間に渡しをたたみ、観音扉を閉めて港を出た。もう、船のスタッフのご好意と神様に感謝しかない。
みんな大喜びで肝心なことを忘れて引き揚げようとしたので、小姑MariTAMTAMまりが大声で「船長さんとクルーの皆さんと記念写真撮らせていただこうよ!」と呼びかけた。写真を口実に、全員揃って頭を下げて、あらためてお礼を言えた。「いえいえ、どちらにしても港の中で時間調整する分を待っただけですから」船長はさらりと言った。カッコイイ。東海汽船のクルーのみなさん、ほんとうに、ほんとうにありがとうございました!!
写真は遠慮なさってなかなか撮らせてもらえなかったが、それでもお願いして2~3枚撮ることが出来た。(ホームページ掲載OKかどうかの確認がとれないので、残念ながら載せられないけど)実際の船長さんたちはイラストと違って皆細身で敏捷な方々でした。
さて、気の毒なローレンスは、火事場の馬鹿力を出した後の凝り固まった筋肉と、まだ興奮状態の脳を持て余し、男性陣の部屋はますますガハハと盛り上がって、実に騒がしい。
消灯のアナウンスが流れているのに、恥ずかしいな~もお~~。「他のお客様のご迷惑にならないように、、、、」とアナウンスされたような気がするけれど、記憶違いだろうか? 興奮覚めやらぬガハハ社長に何回も「ちょっとだけ、ちょっとだけロロちゃんが無事乗れたことをお祝いしましょーよ」と呼ばれたので、ちょっとだけ付き合って、「明日に備えてみんな早く寝ましょう、It’s time to go to bed.」とまたまた小姑になって言い渡し、やっと部屋に戻ってベッドに潜り込む。他の女性陣はもうカーテンを引いて先に寝ていた。
一番気の毒なのはLawrenceLoloちゃんだ。夕方の仕事に間に合うよう、うんと早めに家を出てホテルに着いたら「雪でお客さんが全然来ないから仕事は無しにしてください。」とドタキャンされ、ホテルで時間を潰しながらこれまた早めに大桟橋に行こうと早めにタクシーを予約したにもかかわらず、すっぽかされて大雪の中を徘徊し、、、、、お疲れさま、ロロちゃん。
船が波に揺れて気持ち悪い。薬の効き目は、騒動でトンでしまったようだ。やれやれ。でも、ほんとうにどうなるかと思った、、、、よかったぁ、、、明日、ううん、今日の伊豆大島高校公演でがんばろう。晴れるかな?晴れるといいな