市原悦子さん、心よりご冥福をお祈りいたします

きょう、市原悦子さんが天国に旅立たれたことをテレビで知りました。心より、ご冥福をお祈りいたします。直接のご縁はあまりありませんでしたが、初めて役者としてメジャー舞台に抜擢された時期に、ちょうど市原悦子さんの事務所が新人募集していたので応募し、オーディションで選ばれてしばらく所属させて頂き、お世話になっていたことがありました。

荻野目慶子さんが辞められた後の募集。面接と合格後の挨拶でお会いした時に、テレビで演じている役の印象と全然違って、色白で小顔でほっそりとして、とても綺麗な方だったので驚いたのを今でも時々思い出します。「がんばってくださいね」という声も、大きな声ではなく震えるような独特の、喉につかえが全くないような不思議な声でした。芝居の稽古場見学もさせて頂いたことがあり、押し出しが強い感じではないのに存在感が大きい不思議な女優さんという印象でした。事務所のスタッフの皆さんもすごく好い方々。

それなのに後悔先に立たず・舞台が終わった頃に昼ドラマの主役が決まったのに、若気の至りと舞台でお世話になった役者さん達の意見に押されて断ってしまい、事務所の皆さんや関係者の方々に多大なる迷惑をおかけした・・・という超特大黒歴史があるので、二度と顔を見れない・・・という気持ちで長年過ごしましたです(>。<)

その後、スタッフの皆さんには連絡をとって謝罪しましたが(謝ってすむことじゃないけど)、市原さんには、お仕事でもお会いする機会がないままでした。そんなこともあって日本昔話とか、家政婦は見ていたなど、市原さんが出演なさっている作品で声をきいたり、演技を見るたびに、ご迷惑をかけた事が思い出され心の隅がチクリ。

と同時に、「自分」というキャラクターの制約と魅力の両面を見事に生かして、他が真似や追随出来ない独自の演技で役を作り上げているすごい女優さんだな~と、感服。一番耳が離せず大好きなのは、やっぱり日本昔話。安易に雰囲気をマネるのは簡単だけれど、聞けば聞くほど絶妙な呼吸や声色で心を持っていかれます。

晩年は語りや朗読劇の舞台を熱心にやられていたとのことですが、観に行かなかったことが悔やまれます。今から、DVDなどを探して、拝見しようと思います。近年、読み聞かせや朗読をしている人がとっても多くなり、プロでなくてもママたちが子供に読み聞かせをしたりと、朗読が広まっていると実感しています。もしまだ、市原悦子さんの語りに触れたことがなかったら、ぜひ、何かの形で注目してみてください。凄さがわかります。